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交通事故被害相談@海浜幕張

交通事故の後遺障害認定の申請方法と必要書類

  • 文責:所長 弁護士 羽藤英彰
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 後遺障害とは

交通事故により傷害を負ったとしても、治療を継続していれば、時の経過とともにある程度までは回復します。

しかしながら、これ以上治療を継続しても回復しない状態という段階に到達することがあります。このような状態を「症状固定」といいます。

症状固定の判断は通常は医師が行います。

この症状固定の時期を経過してもなお残存する症状を「後遺障害」といいます。

2 後遺障害等級とは

後遺障害は、元々は労働災害の分野で問題とされました。

労働者が労働災害により後遺障害を被った場合、労災保険から保険金の給付を受けることができます。

その際に、どのような障害が後遺障害に該当するのかについて、一定の基準がないと判断がまちまちとなり、円滑な保険金給付が行えないことになります。

そこで、労働災害については、傷害の重さまたは障害部位によって区別された後遺障害等級という基準を定め、基本的には、その基準に該当する傷害に対し、後遺障害として認定し、一定の保険金を支払うこととしました。

交通事故における後遺障害においては、強制保険である自賠責保険においても、労働災害と同様に大量の保険金支払事務を滞りなく処理する必要性から、労働災害とほぼ同様の基準により処理されています。

【後遺障害等級の例】

後遺障害等級には基準が設定されています。

むち打ちを例にとりますと、交通事故により被った症状が14級第9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当するかどうかで、後遺障害等級14級を取得できるかが決まります。

そして、「局部に神経症状を残すもの」とは、交通事故の賠償実務では症状が医学的に説明可能なものとされております。

そのため、交通事故から症状固定までの診断書および後遺障害診断書などの資料を基礎として、症状が医学的に説明可能であれば、「局部に神経症状を残すもの」に該当し、第14級の後遺障害が認められることになります。

3 後遺障害等級を取得することのメリット

ここでは、後遺障害等級を取得することで、交通事故に係る損害賠償金取得においてどのようなメリットが生じるかを検討します。

⑴ 逸失利益を請求できる

交通事故により後遺障害と負ったことで、就労が可能とされる年齢(主として67歳:就航可能年齢といいます。)までの所得が減少したと認められる場合には、減少部分について損害として加害者に請求することができます。

この減少部分を「逸失利益」といいます。

逸失利益の計算方法は、「①基礎収入×②労働能力喪失率×③中間利息控除率」で計算します。

後遺障害等級が影響するのは、②の労働能力喪失率です。これは上表の例でいえば、後遺障害等級第14級の場合の「労働能力喪失率」欄の5%のことです。

むち打ち症状の場合には、第14級第9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当することになるのですが、これに該当すると一律に労働能力が5%喪失したとみなされるのです。

なお、①の基礎収入については、被害者の交通事故時の収入を基礎として計算することになりますし、③の中間利息控除率については、主として、交通事故時の年齢から就労可能年齢までの期間の中間利息控除率で用いて計算します。

例えば、交通事故前の年収が400万円で、交通事故当時の年齢が37歳の人が第14級の後遺障害をおった場合の逸失利益の額は、①基礎収入は400万円で、②労働能力喪失率は5%、③中間利息控除率は15.5928となりますので、以下のとおりとなります。

4,000,000円×0.05×15.5928=3,118,560円

したがって、被害者は、3,118,560円を逸失利益として請求することができます。

⑵ 後遺障害慰謝料を請求できる

交通事故における慰謝料とは、交通事故の受傷により後遺障害が残存したことによって受けた精神的な苦痛を損害としたものです。

後遺障害に係る慰謝料は後遺障害等級により主として基準が設けられており、その基準に従った額が損害として認められます。

そして、交通事故に係る損害賠償の基準は3つあります。

まず、自賠基準、強制保険である自賠責保険が保険金を被害者に支給する際の基準です。

次に、任意基準、損害保険会社が被害者に示談する際に用いる基準です。

任意基準は基本的には公表されておりません。

最後に、裁判基準、裁判が損害賠償請求訴訟を提起した際に、損害賠償額の算定に用いられる基準です。

各基準の賠償額を比較すると、一般的に、自賠基準→任意基準→裁判基準の順に賠償額が大きくなります。

これを第14級の後遺障害で比較すると、自賠基準では32万円となりますが、裁判基準では110万円となります。

4 後遺障害等級を取得する方法

後遺障害等級を取得する方法としては、下記の2種類の方法があります。

⑴ 事前認定を受ける

交通事故の当初から保険会社が治療費の立替えを行う場合には、保険会社が「一括対応」といって、保険会社が自賠責保険からの回収を前提として治療費の立替えを行う手続きをとることがあります。むしろ一括対応の方が一般的かもしれません。

保険会社が一括対応をしている場合、被害者が症状固定の時期を迎えると、治療費の立替も終了するため、自賠責保険に対し、保険会社から仮に被害者に賠償をする場合に自賠責保険の基準でいくらくらいの保険金額になるかを自賠責保険に対し回答を求めます。

これを「事前認定」といいます。

この事前認定において、後遺障害の等級の認定の判断も行われます。

つまるところ、後遺障害の認定の手続きに即して言えば、事前認定は、被害者に代わって保険会社が後遺障害認定の申請を行ってくれる手続きなのです。

被害者が行うことは、症状固定の時期を迎えると、主治医から後遺障害の診断を受けて、後遺障害診断書を取得します。

その診断書を保険会社に提出するだけです。

後は、保険会社が自賠責保険に申請を行ってくれます。

後遺障害等級の結果が出ると、保険会社から連絡があり、結果の通知が書面で送られてきます。

⑵ 被害者請求を行う

上記の事前認定とは別に、被害者自身が自賠責保険に対し直接申請する方法もあります。

これを「被害者請求」といいます。

被害者請求が自賠法16条で規定されていることから16条請求とも呼ばれています。

被害者請求は、自賠責保険に対し、自賠責保険金を直接請求する手続きです。

よって、その保険金額の内容に後遺障害の逸失利益や後遺障害慰謝料が含まれているので、自賠責保険会社にこれらの前提となる被害者の被った症状が後遺障害に該当するのかを判断してもらうのです。

⑶ おすすめは被害者請求

事前認定と被害者請求とを比較すると、簡単なのは事前認定です。

被害者は、後遺障害診断書を保険会社に提出するだけです。

しかしながら、保険会社と症状について争いがあるような場合には、保険会社は事前認定にあたって、保険会社の顧問医の意見書を提出したりします。

その内容は被害者の後遺障害が存在しないかまたは被害者が主張している後遺障害等級より軽度の等級該当性を主張するものです。

このため、被害者に弁護士が就いているのであれば、被害者請求をすることをおすすめします。

⑷ 後遺障害認定の結果に不服がある場合

自賠責保険からの後遺障害等級の認定結果に不満がある場合には、異議申立てができます。

異議申立ての回数は制限がありませんが、一度なされた判断を変更させるためには、新たな診断書等の資料が必要となります。

その意味で、当初の判断に比べてハードルが上がりますので、ご留意ください。

5 後遺障害の申請をするなら弁護士にお任せください

以上のとおり、後遺障害の認定を受けるための手続き等について説明してきました。

具体的な申請に当たっては、法律の専門家である弁護士の助力を受けることを強くおすすめします。

当法人では、交通事故により後遺障害が残ってしまった方からも多くご相談を承っており、被害者の方が納得のいく等級で認定されるよう、弁護士が全力でサポートしております。

後遺障害等級認定でお困りの方は、まずは一度当法人にご相談ください。

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